『白夜の誓い』感想・3

宙組

宙組大劇場公演『白夜の誓い ―グスタフIII世、誇り高き王の戦い―』の感想の続きです。
東京公演はいくらか手直しが入ったとのことですが、そちらは観ていないので、あくまでも大劇場公演の感想。

・ヴァーサ王の剣は「エクスカリバー!!」って感じでした。
あるいは水戸黄門の印籠。

誰も見たことがない(テッシンさんでさえ)のに、それを手にしたら親ロシア派貴族がおののいてくれる、というのがすごいなと。
「だれも見たことがないんだから、ニセモノでも作っとけばよかったんじゃ……」と思いました。

・ニセモノのヴァーサ王の剣といえば、子供時代にアンカーストレムさんが木彫りのそれを作ってくれるわけですが、グスタフIII世が倒れる場面で胸元から木彫りの剣を出したときに「実はこれが銃弾を防いでくれた」オチかと思いました。
そんなことなかった。

・冒頭と最後の白い鷲は、仮面がなくてもいいような。
宝塚の舞台は物語世界を楽しむものでもあるけれど、生徒を見るという部分もかなりなウェイトを占めているからなぁ。

衣装やダンスの硬質な感じは、ワルキューレ的で面白かった。

・エグモント伯爵夫人(イザベル)役のうらら様は、やはりドレスの着映えが素晴らしい。
聡明な年上の落ち着いた女性ははまる。
(それ以外が似合うか、という役の幅の問題はあるけどさ)

「ご結婚、なさったんですって……」と悲しむ姿も美しい。
倒れたり叫んだりせずに、静かに悲しみにくれる女性の図というのは少々珍しく、しかしそれがよかった。

直前の歌はうらら様音域とでもいうべきところで歌っていたため、これもよかった。
しかしもうちょっと音域が広くないと辛いよなぁ……。

・ソフィアとイザベルの関係は、都合がよすぎるといえば都合がよすぎるんだが、私はそんなに気にならなかった。
みりおんもまた、理性的な女性が似合うからかな。

・グスタフIII世の側近たちはかなり十把一絡げな感じで、路線男役がもったいない。
アルムフェルト役のあっきーにはソロがあってよかったけれど、歌の入れ方にかなり唐突な印象を受けた。
唐突にでもソロがあったことに「あざーす!」とも思ったけど。

・グランフェルト役のずんはノーブル。
顔が貴族的とは思えないのに、どっからくるんだろうな、あの白さ。
得難い資質だと思う。

・モルコフ役のさっつんは、「能面」とでも表現したいような演技。
ロシアの冷たさがよく出ていた。
事が露見したときはさすがにうろたえていたけど。

・親ロシア派ではてんれーさんがものすごくてんれーさんでした。
いやぁほんと似合うな悪役!
立ち姿も年季が入ってるわ。

捕らえられて連行されるところも、貴族の風格を崩さないんですね。

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Posted by hanazononiyukigamau