『パルムの僧院』感想・1

雪組

『パルムの僧院 ―美しき愛の囚人―』10月27日(月)14時30分公演を観てきました。
観劇はこの1回きりです。

演出は野口センセイ。
去年のキキバウは観られなかったので、私にはこれが初めての野口作品となります。

えーと、とりあえず寝ませんでした。
場面転換が頻繁にあったのがよかったのかも。
いろんな人に役がありました。
絵的に(色味など)も悪くなかったと思います。

と、褒めどころはゼロではないですが、ダメなところがほんとにダメで。
悪い意味で「うっわぁ……」と思う作品でした。

一番ダメなのは主人公の造形。
アホだ。腹立つ。
能天気すぎてこれをもてはやしてる回りの人たちの気がしれない。

「どうしようもなくバカなのに、それが物語中では正義で崇拝されてるヒーロー」になってるところにムカつき、ついでに『灼熱の彼方』のオデュセウスまで思い出して、咲奈のバウ主演運の悪さってなんなんだろうと思ったのでした……。

次にダメなのは、登場人物になにもかも語らせてしまうところ。
ほんとわかりやすーい。
アタマが悪くても少々場面を見逃してもストーリーを理解できる親切設計。
行間なんてありませんよー。

素敵な主人公には素敵だって言うし、恋に落ちたらその理由を言うし、悔しくなったらワナワナしながら怒りをぶつけるし、陰謀もみんな観客に説明してくれるし、いやぁ便利。
繊細な芝居ができる雪組子でなくてもこの脚本なら観客に伝えられるね!

でも私は行間があり余韻を感じられる芝居を観たいんだよなぁ。

ていうか、回りに「素敵」「かっこいい」「気高い」って言わせればそういう主人公になると思ってないか、野口センセイって。
残念ながらそうはならないんだよなぁ、言動が伴ってなければ。

あるいは、設定は作ったからあとは演技力でよろしく! とか、まさか思ってないよね?
脚本や設定がアレすぎると、役者の力量だけでどうこうはできないですよ。

あと、今さらだけど副題の「美しき愛の囚人」ってだっさいなぁと。
「美しき囚人」「愛の囚人」だけなら、まだよかったのに。
重ねたらくどくなった。

雪組生の頑張りには拍手するし、役のクォリティはともかく役も出番もあってそこはよかったなと思う。
でも主人公に感情移入できないってこんなにキツイのだな。

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雪組

Posted by hanazononiyukigamau