『ブックショップ』感想

OG

バウホール公演『ブックショップ』9月28日(日)13時公演を観てきました。
OGの麻乃さん・旺さん含めて出演者が4人のみ、舞台セットは本屋のみ、上演時間も1時間半程度のこじんまりした舞台です。

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登場人物は本屋のオーナーとなったジェーン(麻乃さん)、ジェーンが想いを寄せるサミュエル(溝呂木さん)、本屋に住む幽霊のヴィクター(あぜちさん)、ヴィクターが想いを寄せていたウクライナ人のペトラ(旺さん)。

はじまりはジェーンが子供から大人に成長するところ。
お話を愛する小さな女の子が読書好きな少女になり、ついに本屋のオーナーとなる。
それを着がえ(出演者が黒子状態でジェーンに着せかえる)と麻乃さんの演技で見せます。
着々と育っていく様子が楽しかった。

旺さん演じるペトラが素晴らしかったです。
明るく、強く、寂しく、切ない。
慣れない外国語(である、おそらくは英語になぞらえられたカタコトの日本語)と、母国語のウクライナ語を使い分けるさまがお見事。
ウクライナ語は本当にウクライナ語なんですよ。勉強されたそうです。
役者さんは根性だ。

ペトラとヴィクターの恋は、ヴィクターの内気さゆえに破れます。
あのとき国に帰るという彼女を引き止めてさえいれば、今も成仏できずに彷徨っているなんてことはなかったのに。

だからこそヴィクターはジェーンの背中を押します。
必要なときに必要なことを言わなければいけない。
「言ってもなんにも変わらない。気持ちを伝えるなんてできない」――そう思って生きてきたジェーンはサミュエルに想いを伝えることが出来ません。
それが、別れを前にして決意した彼女の言葉によって運命は変わります。
想いは伝えれば人生は動くんです。

芝居のあと、ちょっとした場が設けられました。
出演者4名が舞台に出てきて観客からの質問に答えたり、あるいは観客からの感想を聞いたりというものです。10分程度あったかな。
これも「ナマの言葉が、思いを伝えることが、大切」という作品のメッセージに関わるものでしょうか。

――これを観て、「私ってなにも伝えてないんだなぁ」と感じました。
かつてのジェーンよろしく、人と話して、人生(自分のも相手のも)を変えることに興味ないもんなぁ。
(あ、ちなみにこのブログは「盛大な独り言」だと思ってます。ジェンヌさんなり演出家なりに直接話しかけてるわけじゃないから)

相手に伝えようとする気持ちのある人ってえらいわ。

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Posted by hanazononiyukigamau