『モンテ・クリスト伯』感想・2

宙組

ポスターをみたかぎりでは、「“怪人”エドモンが自分を陥れた人たちを復讐する」という印象だったんですが、実際の舞台ではテル演じるエドモンが復讐しつつも罪の意識に懊悩し、さまざまな人々によって改心する話でした。

ともちんダングラール、まぁくんフェルナン、ちーちゃんヴィルフォールはさくさくやられます。
あ、もちろんそれなりにストーリー展開はあるし時間も使ってるんだけど、それでも印象としては「さくさく」。
3把ひとからげで復讐された感じです。
もう1回観れば、また印象は変わるのかもしれませんが……。

復讐ではなく改心に重きがおかれたのは、宝塚の主役は白く清く正しくなければならないからでしょうか。
このあたりも「宝塚的」な改変だなぁ。
『銀河英雄伝説@TAKARAZUKA』での改変(王位が簒奪じゃなく禅譲になっていた)を思い出しました。
個人的には復讐の冒険譚に心躍らせたかったし、ダークヒーローも好きなのでちょっと残念です。

エドモンを改心させる主な人々は、すっしーさんのファリア司祭、緒月のベルツッチオ、れーれのエデ姫。

ファリア司祭は宗教・信仰・学問によって、復讐に生きようとするエドモンを苦しめる「良心の咎」となります。
亡くなってはいてもエドモンの心に根ざしているので、あらゆるときにエドモンを正しい道へ導こうとします。

ベルツッチオは友情と信頼。
命をかけてエドモンを助けようとします。
彼がエドモンを邪悪な心に進むことを阻みます。

エデ姫は、彼女自身フェルナンに恨みを抱いています。
彼のせいで親はなくなり、自らは奴隷の身になったので。
フェルナンの命を奪おうと思うほどに恨んでいますが、最後にはゆるしによって武器を捨てます。
彼女のゆるしが、光となってエドモンを突きさします。

親を殺し自分の自由を奪った相手をゆるせるエデ姫と、復讐ばかりを心に抱いている自分の違いはなんなのだ? と。

復讐ではなく、「ゆるす」という信仰が物語の軸に据えられていました。
キリスト教的な信仰が舞台をつらぬいているあたり、『復活』を思い出しました。

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Posted by hanazononiyukigamau