『モンテ・クリスト伯』感想・1

宙組

3月20日(水・祝)11時公演を観てきました。
1回しか観ないのでざっくりとした感想しか書けませんし、記述も不正確になりがちなのはご了承ください。

原作は大作。
それを宝塚の芝居にまとめる(しかも1幕しか使えない)となると、どうしても物語をはしょったり、ある程度説明でまかなわざるを得なくなります。

その役目を担うのが、たぶん、アメリカの演劇部員チーム。
公式の配役に出ていたあおいちゃん・りくくん・うらら様に加え、かける(フレディ)とずん(ディック)が務めてます。
ずんがまた上手いんだ……というのはさておき、覚悟していたようなひどいものではありませんでした。
あーほっとした。

「僕たちも未来を見据えて……!」とか言いださなかったからね。(『殉情』はうっとおしかったなぁ)
演劇部員たちは、これを現代に置き換えるとこういうことよね! と「わかりやすく」説明してくれる係でした。

そう、全体的に「100分でわかる『モンテ・クリスト伯』講座」のおもむきを呈していました。
いやーわかりやすいわかりやすい。
復讐の物語というより、改心にスポットが当てられてましたね。
3人(いや4人か)への復讐もさくさく進みます。

ただ、わかりやすさの追求なのかなんなのかわかりませんが、唐突に現代的なものが挿入されるのがぶっちゃけ邪魔でした。
「戸塚ヨットスクール」とか(若い人にわかるのか?)、ダイエット系の会社の従業員の家族の比喩とか、「喜び組」(懐かしいな)とか。
現代アメリカチームが言ってるのもあまり好きじゃないのに、『モンテ~』チームが言うとかさぁ……やめてほしかったわ。
こういうのがあると物語から突然引き離されてしまうの。入りこめないの。
不要な説明で過剰に理解を促されたくない。

ラストはとっても「宝塚」版の改変が行われていました。
ネタバレになるので下においておきます。


あらかじめお断りしておきますが、私が読んだ「原作」は児童向けのダイジェスト版です。
ストーリーはそう変わらないとは思いますが、それにのっとって以下を書きます。

原作では、最後にエドモンはエデ姫と旅だちます。
メルセデスがどうなるんだったかは、すいません、忘れました。

舞台版は、メルセデスとエドモンのハッピーエンドです。
エデ姫(れーれ)はあっさり身を引きます。
2人と愉快な仲間たち(緒月とかかいちゃんとか)とで出航します。

で、その前に実はメルセデスとフェルナンの間の子・アルベール(愛ちゃん)とエドモンの決闘が行われます。
互いに自分が死ぬつもりで空砲を撃ち、2人とも事なきを得るのですが、そのときにメルセデスから真実が告げられます。
アルベールは、実はエドモンの子だ、と。(ほんとか嘘かは知らん)
結婚前に一夜を過ごしていたらしい。

舞台版のフェルナン(まぁくん)は浮気はするわメルセデスに暴力は振るうわのひどい男で(原作はそこまでじゃなかったぞ)、だからこそずーっとエドモンを愛しつづけていたメルセデスが最後にあっさりよりを戻すのもオッケー! な流れにされてます。
ほんとはここもつっこみたいけど。

しかしエドモンと一夜を過ごしてからフェルナンと結婚するまで間があったはず。
彼女が身ごもった子供の父親が自分じゃないことに気づかなかったらフェルナンは粗忽すぎるし、もしわかってたのなら彼の浮気って妻のメルセデスに端を発するものなんじゃないかっていう気になります。
女性不信が極端なかたちで発露したもの。
だからって舞台版のフェルナンが最低なことに変わりはないけど。

そうなると、「最後にあっさりよりを戻すのもオッケー!」ではなくなるのです。
元凶はアンタだよと言うのは言いすぎですが、フェルナンがぐれるのも微妙に気持ちがわからんでもないわ、という。

だから、最後にエドモンがエデ姫じゃなくメルセデスと一緒になるのはいいとして、アルベールの父親をエドモンにしてしまったのは改悪なんじゃないかと思うのです。
「宝塚」らしくと上っ面を整えたばっかりに、かえってアラが出てしまったのではないかという気がします。

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Posted by hanazononiyukigamau