『フットルース』感想・4

雪組

ガソリンスタンドで遊んでいるアリエルを見つけたときのムーア牧師が切ない。

嘘をついていたこと、よくない仲間と一緒にいたことを知っているのに、責めないんだ。
ただ「母さんが夜は冷えるからと…」とマフラーらしきものを渡して、それだけ。
頬のひとつも張られても仕方ないところなのに。

でもアリエルにはそれが気に食わない。
どうしてなにも言わないの。
どうしてなにも聞かないの。
そんなに私に興味がないのかって。

ムーア牧師は無関心なわけじゃない。
娘を愛していないわけでもない。
どうしていいかわからないのと、心の傷によって心を開くことを拒否してしまっただけ。

娘や妻との会話の拒絶もおそらくそれに由来する。
「もういい」
「話は終わりだ」
冷たいというより、投げ捨てているように聞こえる。
自らの殻に閉じこもって、人に踏み込まれるのが拒みたいから。

ストレスに満ちた町を解放するには、彼の心の壁をとりはらって、殻をこじあけなければならない。

それをできるのはレンひとり。
父親に捨てられた、その傷をもって、正面からぶつかっていく。

まっつのムーア牧師がすごくて、初見では彼が主役の物語だと思った。

けれど、2度目に観たとき、彼の心を開かせて町の人々の心を解放するレンは主人公にふさわしいのだと、しみじみと思った。

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雪組

Posted by hanazononiyukigamau