月版ロミジュリ感想・6

2020-12-14月組公演感想,月組

●「頑なな強さは私に似たのか」――ジュリエットの父・キャピュレット卿の歌だが、どうしてもつっこみたい。
ジュリエットはお父さん似じゃなくて中身もお母さん似だと。

リュウさまのジュリパパは普通にイケメン。でもって、あんまり頑固さは感じられない。
役柄的にも、演じている人の持ち味的にも。

対するすーちゃんのジュリ母はまじめそうである。
あんまり恋愛に生きていそうじゃない。
浮気が似合わず、がっちり家を守りそうなんである。

たとえば雪のかおりちゃんの場合、ティボルトはワンオブゼムかもしれない。
恋多き女が、今はいい男に育った甥にハマっているというだけのこと。

でもすーちゃんは一直線だ。ほかに恋の火遊びはしなさそうだ。

でもって、ティボルトが殺されたとき「あなたが剣を抜かないのなら私が抜きます!」という言葉が非常に似合う。
女だから立場上控えているだけで、実際はそういう生き方が似合う。

ちゃぴジュリエットはどう考えてもすーちゃんの娘である。
濃い血を引いている。

なんでリュウ様が「ジュリエットは私に似ている」と誤解するに至ったか――というか、なんでリュウ様は自分が頑なだと思ってるのか、それ誤解だよね? たんに自分のことがわかってないだけだよね? とつっこみたくて仕方ないのであった。

●マギーさんのベンヴォーリオはすごくよかった。
今までのキャストで一番「粗忽者のベンヴォーリオ」としてしっくりきた。
まさかマギーさんがねぇ…。

抑制の利いたマギーさんは最高だ。
演技も歌も控えめで、だからこそ「表現」として成立していたと思う。

やりすぎて、演じていてもほうぼうに「マギーさん」というキャラが出すぎている姿はそれはそれで大好きなのだが、今回は役者としてすばらしいと思った。

しじゅう回りを窺うようにしているベンヴォーリオ。
ロレンス神父に結婚するのかと思われるくらいに年を重ねていて、でもロミオのほうが「王様」で、モンタギュー夫人にロミオを探す面倒を押しつけられるくらいにどんくさくて人がいい。

なんとなく間抜けで、争いを好まなくて、両家の争いを止めようとするけれどそれを為せない非力なベンヴォーリオ。
一般的なマギーさんのイメージとはかなり違うと思うんだけど、まったく違和感がなかった。

今回、予想を裏切ってすごくよかったのはやっぱり彼だなぁ。
「どうやって伝えよう」などでの逡巡する姿が痛々しかった。

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