『ロジェ』感想・1

これは、ロジェという男のトラウマ解消物語――ということでよろしいだろうか。

家族を失った男が長じてインターポールに勤め、
その勤めの中で自らの家族を死に追いやった男を探し、見つけ、ゆるし、
過去のくびきから解放され、未来へと旅立っていく。

その中で、出会った女レアや友人リオンとのさまざまな絡みが…となるはずなんでしょうが、あんまり絡んでなかった気がする。
時間的に・空間的にってことじゃなくて精神的に。
ロジェさん1人で悩んで1人で突っ走って1人で解決してるんだもん。

みなこのレアとは恋愛感情があったようななかったような、でもタンゴを少し踊ってそれで終わり。

キムのリオンとは一応友人なんだろうけど、ぶっちゃけ対等な関係に見えなかった。
リオンが一方的にロジェの心配をして絡んできたりするけど、それをロジェはなんとも思ってなさそうで。

コマのマキシムは適当にあしらわれている。
咲奈のヴィンセントは有能さもあって信用されてるし、言葉づかいを注意するくらいには大事にされているようだけれど、ロジェにとっていなければいないでかまわないくらいの存在だと思う。

マヤさんのバシュレは家族を殺されたあとの育ての親であることもあって、さすがにロジェの中での存在感や影響力は一番重いかもしれない。
けどそれって物語が始まる前の問題で、人間関係を築く築かないの問題じゃない。

ロジェって1人なんだ。
人と絡んでいけない、人と関係を構築できない。

別にそんなこたーいいんだが(いいか?)、そうやってできた話って面白くないのだった。
立体性がなくて。

下はハリーのお言葉の抜粋(プログラムより)。

お客様には、格好良い男役としての水夏希の魅力を存分に感じて頂き、

水さんは格好よかった。それは間違いない。
でも水さんのかっこよさを追求した結果、物語がなおざりにされてしまった。

かっこよさをクールさで表現しようとしたためか、獲物は熱く追うけれども人づきあいに冷めて、こむずかしいことをぼそぼそと一生懸命しゃべる男になっていました。

というか、さほどむつかしくないことをややこしくしゃべる男なんではないかと。ハードボイルドチックに、いつものハリー調で。
こうやって書くと全然かっこよくないなロジェさん。

そんなトラウマ持ちで内にこもった男が、例の相手を追いつめ、事件の真相を知って許す、そしていくばくかなりと過去から解放されたロジェが新たな生き方を迎えるラストシーン。

おかげで、最後のシーンで銀橋に立ち、本舞台にいるほぼ全員の登場人物たちから歌を贈られるのを初回は「ああサヨナラ仕様だなぁ」としか思わなかったのに、
今や「これはエヴァアニメの最終回(おめでとう、おめでとう…ってやつ)なんじゃないだろうか」と感じるようになってしまいました。
ロジェさんたら、30歳超えて(るよね?)モラトリアムなのかしら。

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