月組版スカピンをみたんだ・2
スカピン5月2日11時公演をみてのまさおショーヴランの感想など。
一言でいうなら芝居がすっごくよかった。
声の調子はさておくとしても。
ショーヴランのWキャストが発表されたとき、「この2人なら大丈夫だろうな」とは思った。
思ったけれども2番手なりたてであるし若いこともあって過剰な期待はしてなかった。
そしてぶっちゃけてしまえば、「根っこが暗そうなのはみりおのほうだよな」と思っていた。
が、まさおのショーヴランは十分すぎるほどに暗かったです。
狂気あるよな。
野卑な感じがすごくした。
裏街のドブ見て育ってるわこのショーヴラン。
下卑たところもマルグリットへの執心もあって、それがかれの野望の原動力になってるのがよくわかる。
歌について。
1幕はこなしていた。調子はあまりよくないのかと思うところはあったけれども、声がかすれて出なくなるほどのところはなかった。
不調が決定的になったのが2幕の終盤。
マルグリットをギロチン台へと送ることに決めて「栄光の日々」を歌うところ。
「栄光の日々は何処に行った」のあたりだったろうか、まさおの声がかすれた。
そして消えた。
歌詞をとばした。
しばらくして歌いだしたがどうにもならないほど調子が悪いことはあきらかだった。
低音部はなんとかこなせても高音のところはまったく出ない。
なんとか自分のパートを歌い終え、ミクロンの桟橋のシーンで再び登場。
動き、話すぶんにはことさら気にするほどの不調ではない。
大団円の結末を迎え、フィナーレへ。
下手花道からセリ上がってきたのは当然ショーヴラン役のまさお。
予定通り「ひとかけらの勇気」を歌うんだけれども、やはり途中の高音部で声が出ない。
「歌、短くてもいいよ」「なんなら歌わずに踊りながら銀橋渡ってくれてもいいよ」と祈るように思ってみていると、時間が経つのがすごく遅い。
それでもなんとか歌いきって、悔しいだろうがちゃんと笑顔でハケていったのは立派だと思う。
パレードの階段降りの歌は問題なしだった。
歌えるかどうかは音域次第なんだろうな。
今回ののどの不調が『HAMLET!!』主演で咽喉を酷使したせいだとも、ショーヴランの歌がそれほどまでに大変な曲なのだとも、想像できる。
加えて役代わりだから負担もストレスもそうとうなものだっただろう。
ただ、主要キャストになるとこのくらいの歌が曲数・レベルともにまわってきてしまうのだ。
大劇場公演であれば2ヶ月以上にもわたって舞台をつとめなければいけない。長丁場をこなさなければいけない。
手を抜く――というと聞こえが悪いけれども、長い期間をこなすことを考えて力配分をしなければいけないんだろう。
だが、私はこれが不幸中の幸いになるのではないかと思っている。
力で押すだけではないありかたを探れるのではないかと。
舞台人・龍真咲としてのターニングポイントになるのではないかと。
叫ぶ、がなるという手法を封じられた中で、どうショーヴランを立ち上げていくか。
1度見ただけだが、それが成功しているように思えた。
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