『Carnevale 睡夢』感想・5
イタリアンポップスを歌うチギコマ。
この2人がかわいい。
曲調が微妙に古臭いのもまた味わい深い。
まわりでキスしまくってる下級生たちがこっぱずかしい。
なんとなく助けて。
下級生はセットの2階にもいるので、そこらへんを見始めちゃうとこれまた目が足りなくて困る。
「僕の恋人たちはどこにいっちゃったんだろう」みたいな歌を歌うチギコマのところにしれっと戻ってくるさゆとみみがクールで小悪魔っぽい。
こういうちょっと気まぐれでひどい女の子って舞台ではすごく魅力的なんだよね。
翻弄するSっ気のある娘役と、振り回されるM気味な男役ってツボにくる。
目玉のはずの水さんの女装。
歌はいつもの水さんの声で、ほとんど仮面はとらないままなので「誰?!」という気分にはなりません。
ちぎたさんの黄色いドレスのほうがインパクトがあったからなぁ~。わりと冷静に見れました。
紫ドレスの姿はカボチャの馬車とおとぎ話の継母や魔女を同時に見ている気分。
ということは、水さんを争っている雪男たちは魔女に魅入られているようなものなわけだな…(大きく間違ってはいないと思う)。
逃げてー。
ドレスを脱いだあとは飾りなしの黒燕尾。
男役の極みの黒燕尾姿が美しい。
雪組は群舞が揃うから、見てて気持ちがいいんだ。
途中の「カメハメ派」テイストな振りには一瞬身構えたけれども。
この後、水ゆみが銀橋に出てくる。
銀橋の両側から出てきてすれ違って、通りすぎるゆみこの腕を水さんがつかんで、でもゆみこがそれをふりほどく。
去っていくゆみこの背中を水さんが見つめる。
この流れ、神すぎる。
涙なしには見られない。
舞台と2人の関係がオーバーラップする。
これまで過ごしてきた2人の時間を思う。
はっきりいって演出はベタすぎて、「泣かせにきたな」と思う。
グッときてる自分は演出家の術中にあるなと思う。
それでも、宝塚のこういう熱さが好きだ。
人間関係の密さが好きだ。
ちゃんと卒業する生徒を美しく送りだそうとする姿勢が好きだ。
ゆみこの背中をみる水さんを見ながら、観客の私たちも水さんに同化してゆみこを見ている。
送りだしている。
悲しみや祝福や思い出や、ありとあらゆる感情をないまぜにして、宝塚の舞台を去りゆくゆみこの背中をみる。
何かを断ち切っていく清々しい背中をせつなく送りだす。
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