『ソルフェリーノの夜明け』感想・2

雪組

●華やかなオープニングに「絵に描いたような宝塚だわ」と思いつつ、「宝塚というよりベルばらなんだよね」と感じた。
デコレーションケーキがユリのブーケになっただけ。

でもとりあえずびびった。
唐突に異次元に連れ去られた。力づくだった。
ついでに平成の世からワープさせられた。
ただし連れ去られた先は1859年のソルフェリーノではなく昭和の宝塚だ。

ここで歌うのがかおりちゃんというあたりがまた少々レトロで昭和な味わい。
かおりちゃんの存在と歌が、その上手さも含めてあまりにもザッツ娘役で正統派すぎて、伝統芸能みたいな感じすらするんだもの。

舞台は真っ白。
出てくる人も真っ白。(緑の人もいるけど)

でも、この白さは後のストーリーと見事に無関係で笑える。(笑いどころか?)

ここが終わったら血糊にまみれた舞台だからなー。
これは宝塚の舞台なんですよ、という確認のために設けられたオープニングなのだろうなー、と推測。

●カーテン前での水ゆみの歌はなんかよかった。
「人はなぜ戦うのか~」って感じの歌。

●テーマ曲「ソルフェリーノの夜明け」は、ストーリーの流れと関係なく歌われすぎて変な感じ。

悔しかったら歌う、
悩んだら歌う、
悲しかったら歌う。

どんな場面でも「ソルフェリーノの夜明けが十字を赤く染める」のだ。
十字の「じ」の字も出てない段階であっても、ひたすらに「ソルフェリーノの夜明けが十字を赤く染める」。

このくどさは植爺が「K音楽賞」を狙ってるのではないかと思うほどであった。
(K音楽賞についてはちょい前の「歌劇」の「花の道より」に書かれていたはず)

●アンリエット=みなこを送りだす場面で歌うエクトール=ゆみこの歌もよかった。
上手いし。
歌詞は完全にサヨナラ仕様。
ちょっとしたサヨナラショー状態。

なんだけどー、歌詞が「旅立つゆみこ」を前提にしたものなので、あたかもエクトール先生がどこかに行っちゃうかのようなことになっておりました。
エクトール先生は前線を駆け抜けたりしないというのに、あくまでも旅立つのはアンリエット達だというのに、「そしてまた歩き出す」とか歌っちゃうんだもの。

それもいきなり真緑のスーツを着て。

せっかくの銀橋渡りだからね、血まみれじゃなんだから。
綺麗な姿を客席に焼きつけないとね。

という演出家の親心を感じつつも、びみょーにズレてんなぁ、と…。
エクトールさんの歌がストーリーと合ってないし、さっきまでずっと血まみれ白衣だったくせに、唐突に一張羅を着てくる意味がわかんないし。

アンリエットさんを見送るためにスーツに着替えたんですかね、エクトールさん。
朴訥とした雰囲気を漂わせていても、伊達なイタリア男であるらしい。


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Posted by hanazononiyukigamau