
南座で観た「レビュー 春のおどり」第一部『たまきはる 命の雫』の感想の続き。
ロミオ/翼くん
ロミオ(翼くん)とジュリエット(千咲さん)の若い恋物語。
この2人が当たり前に歌がめちゃくちゃ上手くて、芝居もうまくて、実力のある舞台人っていいなぁ。
翼くんは少年の似合うトップスターで、一目ぼれしたジュリエットにまっしぐら。
恋ゆえに、バルコニー(月見台)に現れてしまうのも若さ。身軽だからどこでも容易くのぼれそうだ。マキューシオの想いに気づかないのも若さからくる視野のためだろう。
年齢は語られてなかった気がするけど、ロミオは節会で参内しなくてもいいくらいの年齢と身分なのかなと。結婚式も挙げるし元服はしてそうだけど。
(関係ないけど、この場面のティボルトとマキューシオに『源氏物語』の光源氏と頭中将の青海波を思い起こした)
「生」の部分、ジュリエットとの恋はきらきらしいのがまさに「たまきはる(魂極る)」。
対し、「死」の部分、ティボルトの死や自身の死も対極のような色味を見せる。
私はそれを舞台全体のトーンとしてアンバランスに感じたけれど、呑まれるような熱演だった。
キャピュレット命婦/城月さん
キャピュレット命婦の城月さん。
原作より政治的で悪女の造形ですね。
キャピュレット家の興隆は彼女の手腕によるもの。その美しさで先代の帝(がいるかどうかしらない)に取り入ったのかもしれないと想像をふくらませてしまう。
甥のティボルト(天輝くん)の心を知りつつ手玉に取る余裕もあり、かれの死すらモンタギュー家を追い落とす材料にする。血も涙もない非情な女性である。
さすがに娘・ジュリエットの死は痛ましかったようだが。
パリス/壱弥くん
パリスに大公の要素を足した役どころの壱弥くんがよかった。役者。
時代がかった物言いも、パリスの身分の高貴さと、両家とは一線を画している位相であるとわかる。
ジュリエットとの結婚はキャピュレット命婦のさしがねだろうが、ジュリエットの美しさに心とらわれたのであって、それでいてキャピュレット家に過剰に肩入れしそうにない頼もしさもある。
弔いに白い百合を持参して、ロミオとジュリエットの亡骸が恋人同士であると告げられての激昂も、誇り高さがある。
パリスにとってロミオは自分の「妻」ジュリエットを汚した者であり、帝を頂点とする身分社会で「親王」である自分をないがしろにした者でもあるのだから。
ほかいろいろ
マリアのありすちゃん。可愛い。
原作は「乳母」の役どころですが、今作では少女ですね。女童みたいな感じ。
ベンボリオの琴海さん。娘役が演じる、男装の従者ってことでいいのかな。かっこいい。
今回、2度とも席が1階上手だったんだけど、僧侶・ロレンスの登堂くんが客席通路から登場してくれて、近くを通ってくれたのがとてもありがたかったです。
両家の争いで命を落としたティボルト(天輝くん)とマキューシオ(椿くん)が、その後は「亡霊A」として登場。
宝塚版の「死」と「愛」のような感じもありました。
死してなお、自分のいとこたちを守ろうとする。目が足りません。


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