『薫風歌舞伎特別公演』を観てきた

松竹座「大阪・関西万博開催記念 薫風歌舞伎特別公演」を観てきました。
5月24日(土)11時公演、第一部の『今昔歌舞伎草紙』『脈々奇書異聞 夢窓西遊記』です。
すっごく楽しかった。

「大阪・関西万博開催記念」と書かれているとおり、大阪万博で上演したものを松竹座でもやったもの……みたいです。あまり詳しくないので、間違ってたらすいません。

雑感

まず、舞踊と芝居の二本立てで、各1時間で終わるのがいい。慣れてない人は長時間座ってられないから。

たっぷりとした歌舞伎にもそれ相応の楽しさはありますが、歌舞伎慣れ、舞台慣れしてないと辛いと思う。
だって、現代語じゃない言葉(≒聞き慣れずに理解しづらい言葉)での舞台を楽しむのって、けっこうハードル高いわよ。日本人ならまだしも、観光で来日した外国人ならなおさらでしょう。
時間の感覚も現代と作品が作られた当時では違うし、昔のゆったりしたテンポ感はタルく感じるかもですから。

1時間という歌舞伎にしては長くない時間ですっぱり見えたのは、歌舞伎初心者にも親切な仕様です。

『今昔歌舞伎草紙』

『今昔歌舞伎草紙』は歌舞伎踊り、上方歌舞伎、江戸歌舞伎の3つを見せる。
歌舞伎というと男性のみのイメージがありますが、これは踊りだからか女性も舞台に立っているのでした。(女形さんじゃないよね?)

上方歌舞伎では和事=恋愛ものの一節を。

江戸歌舞伎では、赤獅子に白獅子が派手に髪を振り乱す。三体が見せる勇壮な江戸の華です。
ちょっとよくわからなかったけれど、祭りのさなかに鳶頭たちが見せた芸、という意味合いなのかな。

一度でいろんな歌舞伎のパターンを観られる、お得な作品でした。3種のうちどれかは好みに合いますしね。

脈々奇書異聞 夢窓西遊記

休憩を挟んで、「脈々奇書異聞(みゃくみゃくきしょいぶん) 夢窓西遊記(むそうさいゆうき)」。
タイトルからわかるとおり、孫悟空でおなじみの「西遊記」に大阪万博のマスコットキャラクター・ミャクミャクを交えた、まさに万博仕様の一作。キショイ……というわけではない(と思う)。

OSKの『へぼ侍』の脚本・演出を手掛けた、戸部先生の手になる作品です。

この『夢想西遊記』がめちゃくちゃ面白かった!
西遊記の孫悟空に太閤さん=秀吉を重ねて、大ボスとして崇徳院を配置し、妖怪退治してミャクミャクを新たな守り神として生まれさせる…というストーリー。上手いわー。

私は歌舞伎役者さんにまったくもって詳しくないのですが、孫悟空・猪八戒・沙悟浄を演じたのはご兄弟なんですね。そのあたりも知ってるとおそらくメタ的な楽しみも増えるのでしょう。ほら、ヅカファンが「○○ちゃんと××ちゃんは同期だし!」と萌えるみたいな感じで。

私のばあい、『西遊記』はどうしてもモンキー・マジック的な、夏目雅子的なものを思い起こしてしまいます。その世代よりはたぶん下なんだけど。
でも今回はパロディ的な位置づけもありつつ、天竺に向かったメインキャラ4人の作画は、おそらく原作に近いもの。沙悟浄は河童じゃないし、孫悟空はおサルさん要素低めだし、猪八戒だって日本人の思うブタ的なイメージではない。そして三蔵法師は美女が演じる女性的な美しさとは違って、ちゃんと雄々しい。だってシルクロードを旅する僧侶だもの。

日本を守る妖怪というか産土神としてナメクジがいたんですが、じっとり気持ち悪いイメージとは裏腹に美女だったのも面白い。

最後は脈々(ミャクミャク)が朝日のごとく登場する見せ方もお見事でした。

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