色のゆかり
「悲恋だけど幸せ」を教えたい八千代さんが、定家を新選組の世界に飛ばしてくれた場面です。
ここではキキちゃん定家は「沖田総司」に扮します。
そして新選組のメンバーが浅葱の羽織で銀橋に居並ぶ。
芸妓Aのみねりちゃんはさすがのあでやかさ。
ひろこ・ひばり・ちっち・こまちは舞妓として華やかに可愛さを見せる。
『誠の群像』『星影の人』の沖田総司を演じるキキちゃん。
「あまり長くは生きられない」「生きてきた中で今が一番幸せ」みたいなセリフがトップスターとしてのご本人とかぶる。
退団公演だからそう思うんだろうか……。
式子内親王のはるさくはもちろん「玉勇」。
沖田総司をかばって亡くなった玉勇は、定家より先に亡くなった式子内親王に重なります。
いりあひのかね
舞台奥に鎮座するのは『翼の決戦』を思わせる大きな飛行機のセット。大劇場閉鎖を前にした、昭和19年の作品です。
りっつが演じる「伊勢中尉」はおそらく春日野様が演じた主役なのでしょう。
ここで語られるのは宝塚も戦争に与せざるを得なかった歴史。
「110年の恋の歌」というテーマの作品で、もちろん「愛の歌を歌いたくても歌えなかった」という形ではあるが、宝塚の目を背けたい歴史から逃げなかったのである。
このへんの頑なさ、大野くんだよね。(嫌いじゃない)
ただ、シャベでの白塗りに軍服、モンペ、黒燕尾、ドレスというのはビジュアル的には相性が悪くて……。
ファンが見たいものと、作品のテーマ性って噛み合わないことがあるよねぇ。
葛城
式子内親王が囚われている「定家葛」。
定家の執心ゆえに式子内親王のお墓に葛が巻き付き……という伝説(お能)をベースにした場面です。
この場面が白眉。
幻想性と抒情性のなかに、恋のかたちを美しく見せる。
大野センセイ、ロマンチストやなぁ。
歌を取り戻した定家は、式子内親王とともに怒涛の勢いで歌い出す。
その、和歌を(笑)。
どちらも稀代の歌詠みですから。
和歌を詠むというよりほぼ早口言葉で……語るトップコンビも大変だが、聞いてる私たちも大変だよ。
いく世の花
この場面のソロは、
りせが『この恋は雲の果てまで』(義経)
なるが『早春賦』(龍山)
えっと、歌がんばれ。
初日ゆえの緊張かしら。歌いこなしていけば上手くなるかなぁ。
慶長若衆Aでもえこ・こってぃ・ナニーロ・あのん。
ほか、慶長若衆、琉球、蝦夷も並ぶ。
北から南まで、日本ということでいいのかな。
舞台の絵面的には、とりとめがなくてえーらいこっちゃだと思ったんだけど。
ラストは『花吹雪・恋吹雪』、「キキ」という愛称をくれた瞳子ちゃんの歌ですね。
コメント