・今作のアレクサンドラ(ヒュッレム)のららちゃん。
ヒロイン感がきちんとしててさすがでございました。
この作品、ストーリー上そらイブラヒムが重要な役割を果たし、スレイマンとイブラヒムの絆と確執が物語の中心にあると思う。
となると、自然ヒュッレムのポジションが軽くなってしまうんだけど、そこをきちんとヒロインらしく着地させてたのはららちゃんだからだなと感じました。
最後の庭で亡くなるところは無理やり感を感じたけど……「あくまでヒロインはヒュッレムだから!」という樫畑センセイの気遣いとしてありがたく頂戴した。
樫畑センセイは、ヒロインにもその他の娘役にも脇の男役さんにも下級生にも、とにかく出演者みんなに優しく!という気持ちが見えるのが好きなところ。
(ただし、だからといって作品が面白くなるとは限らないのが切ない……)
戦争が原因で奴隷として売られてきたところからハレムに上がり、そこから後宮での地位を確かにしていったヒュッレム。
ヒュッレムについて書かれたサイトなどを見てると、彼女はものすごく悪女扱いされてるのね。
彼女は元が外国人だし、女による大奥政治は悪く言われがちということもあるけど、権謀術数に充ち満ちてすごい。
それを宝塚のヒロインらしく、ひたすらスレイマンへの愛と世の平和のために……みたいな描き方をしたんですね。
悪女よりも白いヒロインは輪郭がぼやけがちになるからなぁ……。
それでもきちんと賢く愛のあるヒロインとして成立させてたのは、彼女の演技力です。
・そらイブラヒム。小姓あがりの大宰相です。
ずんスレイマンの右腕というよりは、もう一人のヒロインに見えた。
その理由としては2つ、イブラヒムがあまり有能そうに描かれていなかったことと、ららヒュッレムがスレイマンの右腕にも見えたからですね。
ららヒュッレムはスレイマンのお忍びでの私的な外出にもついてくるし、政治にも口を出す。
その口出しが観客からは「善政」として映るもので(実態はさておく)、イブラヒムの政治的な能力がヒュッレムにも分散されたように感じられた。
そして大問題なのがイブラヒムが有能そうに見えない点。
うっかりサインしちゃったところなんかは「実は文字読めない設定……?」とか勘ぐっちゃったわよ。そんなわけなかったけど。
スレイマンと政治的意見が割れていく流れは仕方ないとして、いろんな人に騙されてるあたりが「もうちょっと慎重に!!!!」と言いたくなってな……。
そうなると大宰相になれたのも、かれの有能さと忠誠心ゆえではなく、スレイマンの寵愛によってなっただけ(だって小姓上がりだもん)的なものに見えてな……。
マヌケすぎて可愛い事態発生ですよ、まったくもう。ただのペットならよかったのに。
……というイブラヒムの間抜けな描かれ方は横に置いといて、そらは立派でした。
歌もダンスもうまいわー。
場の色を変える声を持ってるよね。
フィナーレも最初にばーんと華やかに出てきたのは感動的でした。
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