この作品は出演者がどうこうとかじゃなくて、作品として好き。(出演者も好きよ、もちろん)
場面の作り方とか、すごくよかったなぁ。
好きな場面はたくさんあるけれど、特にいいと思うのは次の3つ。
・コンラッドの登場シーン
・ハリウッド・ゴシップなシーン
・ラスト近くのダイナーのシーン
●まずコンラッドの登場シーン。
映画のオーディションという設定でコンラッド役の咲奈が話す。
スタッフの声はするけれど舞台には咲奈ひとりだけ。
ライトを照射されて、いやがおうにもスター性を試される場面。
スタイルいいなぁ。
芽の出ない若い役者として出ているから、そういうひ弱げな雰囲気を出している。けれど、やはり宝塚のスターとしての美しさは隠しようもない。
●撮影スタジオで事故が起きて、コンラッドがゴシップ記者たちに取り囲まれる。
ジェリー(なぎしょ)にかつてかけた言葉が、曲解されて一人歩きしていく怖さ。
コンラッドはジェリーを救おうとしていたにもかかわらず、あたかもジェリーを破滅させた人物であるかのように扱われる。
このシーンがとても怖くて身震いした。
今でもきっとこういうことはあるんだろう。
週刊誌や新聞の中だけでなく、もしかしたら身近なところでも。
悪意や好奇心に取り囲まれる気持ち悪さが真に迫った。
●ラスト近くのダイナーのシーンはとてもハッピー。
映画はなくなったけれど、それでも新たな道をみつけていくコンラッドとエステラ。
バーのカウンター上で踊り出すところがいかにも映画。
こじゃれていて素敵。
いろいろあったけれど小さな幸せが見つかりそうでよかったね!と気持ちよく帰途につけるのだ。
●ほかにも、重役室でのコンラッドを無視したやり取りのおかしさも好き。
それからサロメの7枚のベールの踊りを見せる場面。現実とも虚構ともつかぬ感じがよかった。
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