『追憶のバルセロナ』感想・2

宙組

宙組全ツ『追憶のバルセロナ』梅芸初日付近の感想。

・フランシスコを演じた真風のたくさんの顔を見れる作品でした。

冒頭の明るく溌溂としたスペイン貴族としての姿。
記憶を失いロマの一員として生きる姿。
記憶を取り戻してから、セシリアやかつての親友への想いを抱きつつ故郷のために戦う姿。

どれもかっこいい。

記憶を取り戻して「あなたに会いに行く」とセシリアへの想いを歌うところが特に好き。
そこから「頼るしかなかった、仕方ないんだ、これも戦争なんだ」となるところが特にいい。
セシリアを責めず、親友を責めず、けれどただ切ない。

「黒い旋風」(旋風と書いて「かぜ」と読む)をやってるところは、以前の全ツを思い出した。
まぁくん主演の『バレンシアの熱い花』でも同じようなことやってたな……。

次回大劇場も『イスパニアのサムライ』――雪組がフランスと新選組ばかりやってる一方で、宙組はスペイン率が高い組になっているのかも。

・フランシスコの親友・アントニオ役のキキちゃんはふつうにセリフ言うより歌のほうが聞き取れるな(それってどうなの)。
滑舌はヤバめだった。いつもはそこまで感じないんだけど。

いいところのお坊ちゃんの雰囲気がある。
育ちがよく、鷹揚で、少し甘い(考え方も雰囲気も)。
駆け引きがさほど得意でなさそうなところも、育ちと気立ての良さのあらわれだ。
セシリアを想う甘やかさもよかった。

・ロベルトのずんちゃんは芝居うまいな。
滑舌いいし、熱くて少し歪んでる男が似合う。

仲間のロマ達とすっしーイアーゴーをなぶる演技がいい。
世慣れて世間ずれした感じが出てる。
力と知恵と仲間を引っ張る力、リーダーらしさがある。

元がコムの役だったからかダンスシーンもふんだん。
ダンサー扱いされるジェンヌさんじゃないけど、リーダーとしての気魄があった。

・ヒロインであるロマの娘・イサベルにまどか。
ちゃきちゃきした気のいい娘がとても似合ってる。
歌ってよし踊ってよし芝居してよしで安心して観ていられる。

フランシスコとしゃべってるときにあきも(エンセナダ)がやってきていきなり不機嫌になる芝居がいい。
間とか声色の使い分けとかがきちんとしてるから面白いんだよね。
そのあと簡単に機嫌が直るのも可愛い。

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Posted by hanazononiyukigamau