宙組版『オーシャンズ11』感想・5
大劇場で観た『オーシャンズ11』の感想の続き。
・せーこちゃんのダイアナはヴィランーーいや女性だからヴィラネスか――らしい、派手な演技。
目元の吊り上げたメイクも、ボリュームのあるソバージュも、言動の大仰さも、すべてが「悪役よ私は!!」と叫ばんばかりの造形。
初見の人にもわかりやすい、コミカルなダイアナだった。
ただ、そうなるとベネディクトずんちゃんと付き合ってた過去がよくわかんなくなるのよ。
ヴィラネスからエコ・プリンセスだぜ、どんな女の振れ幅だ、ずんちゃん。
「昔付き合ってた」というのが単なるダイアナの妄想なのか、あるいはホテル転売に成功したばかりでピヨピヨだった権力志向のベネティクトさんにとってダイアナさんは輝いて見えたのか――とか。
あるいはダイアナさんも昔はエコ・プリンセスのようにピュアだったんだけど、テスの登場でナマナリと化したのか――とか。
頑張れば想像できなくはないけど、ふつーの意味で色恋はピンときませんね。
・ずんちゃんに限らず、宝塚版のベネディクトは法律スレスレだけど極悪人には見えないもんだなぁ。
コメディ要素が強いし、土地を取られそうな人だってカジノで全財産スっちゃうような間抜けさがあるせいかな。
ベネディクトの一番のヤバさは強引な業務拡大じゃなくて、テスに対するDV気味な支配欲。
そこんとこさえクリアできれば、ダニーよりまともな男だからいいんじゃないかな……と思ってしまう。少なくとも犯罪者じゃないし。
真風・キキちゃんというでかい男役と対峙しなきゃいけないずんちゃんは、敵役としてどうしても「弱い」。
ずんちゃんの芸風が比較的まともなこともあって、舞台では最初から分が悪い戦いを強いられてるような印象。
それでも的確な芝居や魅力のある歌声で、舞台で着実なものを見せていた。
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