『夢現無双』感想・2

月組

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月組大劇場公演『夢現無双 -吉川英治原作「宮本武蔵」より-』の感想の続き。
観たのは3月30日(土)11時公演のみです。

※だいたい文句しか言ってない

・佐々木小次郎役にみやちゃん。

みやちゃんの役はなんでキリスト教徒にしたんだろう。
上手くいけば面白い演出だったのかもしれないが、結果としては不発。
ロザリオを渡したり、死者に祈りを捧げたりするのも、なにかに収束するわけでもなかった。
膝カックン状態の設定である。

ミステリアスな美しさ、清廉な雰囲気はよかったんだが、出番の短さなどを考えるにこれが最後というのはどうなのよ。

・3番手になんでこの役……と思ったれいこの本位田又八。
又八の残念なところが愛おしいと思うべきなんだろうか。
このダメな感じが好きな人には愛でられる役なんだろうなぁ……たぶん。私はそうじゃないから、知らんけど。

又八は武蔵になりたくてなれなかった存在というところだろうか(名乗ったのは小次郎だけど)。

・ヒロイン・お通のさくさくは声がいい。
声の良さ、セリフの通りの良さは娘役としての美質。

しかし、振られても振られても健気に主人公をお慕いしついていく……っていうのはヒロインの王道ではあるけれど、今どきそれもないだろうよと思う。
ほんと都合のいい女よねー、とつい思ってしまう。
そして現代においては「ストーカーか?」みたいな印象を受けてしまうのね。

昔はこういうヒロインも良かったんだろうけどさぁ……。

・るうちゃんの沢庵。
しょっちゅう怒っているので見ていて疲れた。
(るうちゃんの演技が悪いわけじゃなくて、脚本などの問題)

武蔵が改心していく流れや、あるいは改心よりも殺気や衝動、豪傑になろうという気持ちが勝ってしまうという武蔵の人物像が見えたなら、おそらくあの演技でよかった。
けれど、殺気が足りない武蔵をなぜそうまで沢庵が叱りつけるのかわからず、そうなると沢庵は武蔵を不当に責めているように見えるのだ。
意味もなく怒り散らしている人を見るのは疲れる。

・ついでに、筋違いの恨みを武蔵に抱き続けてる杉婆(なっつ)もなぁ……。
最後までカタルシスもなく終わったし。
演じている人はいいんだけど、舞台で観たいものでもなかった。

――魅力的な登場人物が少なく、複数回観たいという気持ちが削がれた観劇だった。

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Posted by hanazononiyukigamau